今つらいことが、永遠に続くと思っていませんか。
失恋、病気、職場の問題、家族との関係。どん底にいるとき、人はその苦しみが永遠に続くように感じてしまいます。
「このまま、ずっとこうなんだ」
「もう、元には戻れない」
そう思うのは、あなたが弱いからではありません。脳がそう錯覚させているんです。
けれど、3000年前から伝わる、たった一つの言葉があります。
「これもまた、過ぎ去る」
ペルシャの王と賢者の指輪

この言葉の起源には、ペルシャの有名な逸話があります。
ある王が、賢者にこう命じました。「喜びの中でも悲しみの中でも、あらゆる状況で使える一つの言葉をくれ」と。
賢者は、指輪にたった一行を刻みました。
「これもまた、過ぎ去る」
この言葉は、悲しいときには希望を、幸せなときには謙虚さを与えると言われています。
どんな苦しみも永遠ではない。同時に、どんな喜びも永遠ではない。だからこそ、今この瞬間を大切に生きる。
3000年前の智慧が、今の私たちにもそのまま通じるのは、人間の心の本質が変わっていないからかもしれません。
心理学が証明した「回復する力」

この古い智慧を、現代の心理学は別の角度から裏づけています。
心理学では、困難や逆境から回復する力を「レジリエンス」と呼びます。
レジリエンスの研究者であるアン・マステンは、レジリエンスを「困難で脅威的な状況にもかかわらず、うまく適応する過程・能力・結果」と定義しました。
そして、レジリエンスが高い人に共通していることがあります。
「苦しみは一時的なものだ」と信じていること。
つまり、「これもまた、過ぎ去る」を心のどこかで知っている人は、困難から回復する力が強いということなんです。
なぜ「永遠に続く」と感じてしまうのか
逆に、レジリエンスが低い状態では、脳は苦しみを「永続的なもの」として処理してしまいます。
「この状態は変わらない」
「自分にはどうすることもできない」
「もうずっとこのままだ」
心理学者マーティン・セリグマンは、これを「学習性無力感」と呼びました。繰り返し困難に直面し、何をしても状況が変わらないと感じると、脳は「何をやっても無駄だ」と学習してしまう。
つまり、「永遠に続く」と感じるのは事実ではなく、脳がそう学習してしまった状態なんです。
ここが重要です。それは「事実」ではない。脳の「解釈」。
過去の「もう無理だ」を思い出してみてください

ここで、一つだけ思い出してみてほしいことがあります。
過去に「もう無理だ」と思ったこと。
あのときの苦しみは、今も続いていますか。
おそらく、過ぎ去っている。
あのとき「永遠に続く」と思った痛みは、実際には永遠ではなかった。形を変え、薄れ、いつの間にか「過去のこと」になっている。
それが証拠なんです。
「これもまた、過ぎ去る」は、きれいごとではありません。あなた自身の人生が、すでに証明してきたことです。
「過ぎ去る」を信じられないとき
それでも、今まさに苦しみの中にいるとき、「過ぎ去る」と信じることは難しい。
だから、信じなくてもいいんです。
ただ、この言葉を知っておくだけでいい。「3000年前から、人はこの言葉で乗り越えてきた」という事実を、頭の片隅に置いておくだけでいい。
アメリカ心理学会は「レジリエンスを築く10の方法」の中で、こう言っています。
「危機やストレスに満ちた出来事でも、それを耐え難い問題として見ないようにする」
これは「つらくないふりをしろ」という意味ではありません。「今のつらさは、人生の全体像の中の一部分にすぎない」と捉える視点を持つということ。
つらいときはつらい。それでいい。ただ、その中に「これもまた」という三文字が入るだけで、心に少しだけ隙間が生まれます。
あなたは、ここにいる
過去に「もう無理だ」と思ったこと。
あのとき、世界が終わるかのように感じたこと。
でも今、あなたはここにいる。
この文章を読んでいる。
それが、あなた自身のレジリエンスの証拠です。
今がどんなに苦しくても、この瞬間もまた、過ぎ去っていく。
3000年前の賢者が指輪に刻んだ一言。
その言葉は、今のあなたにも届いています。
これもまた、過ぎ去る。



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