人は1日に平均2,600回、スマホに触っている。
アメリカの調査会社Dscoutが行った実験の結果です。約100人のスマホユーザーの端末に、すべてのタッチを記録するアプリをインストールし、5日間計測した。
タップ、スワイプ、タッチ。すべてを合わせると、1日あたり2,617回。
10分に1回。無意識に手が伸びている。
そしてそのたびに、ニュース、SNS、広告、コメント、通知が脳に流れ込んでいる。
もしあなたが最近、理由もなく不安だったり、焦っていたり、「何かが足りない」と感じているなら。
それはあなたの問題ではないかもしれません。
「足りない」は、植えつけられたもの

「もっと買わなきゃ」
「私はまだ足りない」
「あの人みたいにならなきゃ」
この感覚を、自分の本音だと思っている人が多い。
でもよく考えてみてください。その感情は、スマホを開く前にもありましたか。
SNSを開くと、誰かの成功が目に入る。広告は「あなたにはこれが必要だ」と言い続ける。ニュースは不安を煽る。
それを1日2,600回、無意識に浴び続けている。
以前の記事で、脳は毎秒1,100万の情報を受け取り、そのうち意識できるのはわずか50だと書きました。そして脳が何を「重要」と判断するかは、あなたが信じていることで決まる。
つまり、不安な情報を浴び続ければ、脳は「不安」を重要なテーマとして設定し、日常の中からも不安の証拠を集め始める。
確証バイアスとアルゴリズムの記事で書いた通り、スマホのおすすめと脳は同じことをやっている。不安を見れば不安が集まり、不足を見れば不足が集まる。
「足りない」と感じるのは、事実ではなく、浴び続けた情報が作り出した感覚なんです。
何を心に取り込むかは、何を食べるかと同じ

ここで、一つの比喩を使わせてください。
何を食べるかで、体の状態は変わります。ジャンクフードを食べ続ければ体が重くなる。新鮮な野菜を食べれば体が軽くなる。
心も同じです。
何を見て、何を聞いて、何を読むか。それがそのまま、心の状態を左右する。
不安をあおるニュースを朝から浴びれば、心は恐れの状態で一日を始める。他人の成功をSNSで見続ければ、心は「足りない」の状態で一日を過ごす。
毒を食べ続ければ体は壊れる。不安を浴び続ければ心が壊れる。
それなのに、食べ物には気を遣っても、情報には無防備な人が多い。
スマホが近くにあるだけで、脳は消耗している

『スマホ脳』の著者アンデシュ・ハンセンが紹介した研究では、スマホが近くにあるだけで学習効果、記憶力、集中力が低下することが報告されています。
使っていなくても。通知が来ていなくても。ただ「そこにある」だけで、脳の一部がスマホに注意を向け続けている。
つまり、スマホがそばにある限り、あなたの脳は完全には休めていない。
1日2時間以上スクリーンを見る行為は、うつのリスクを高めるという研究もあります。日本人の平均スクリーンタイムは約4時間30分。すでに2倍以上。
情報のシャワーを止めると、声が聞こえる

だからこそ、ときには情報から距離を取る時間を作ってみてください。
スマホを手放して、静かにお茶を飲む。自然の中を歩く。空を見上げる。
食器を洗う瞑想の記事でも書きましたが、目の前のことに集中しているとき、頭の中のおしゃべりが止まる。
情報のシャワーを止めると、外の声に埋もれていた自分の本当の声が、少しずつ聞こえ始めます。
「あれ、私は本当は何がしたかったんだっけ」
「なんであんなに焦っていたんだろう」
5分で十分です。5分、スマホを置くだけで、脳は少しずつ自分のリズムを取り戻していく。
何を受け取り、何を手放すか

ブッダの「受け取らなかった贈り物は、贈った人に返っていく」という教えを、何度か紹介してきました。
情報も同じです。
すべての情報を受け取る必要はない。不安をあおるニュース、他人との比較を促すSNS、「足りない」と思わせる広告。受け取らなければ、あなたの心には入ってこない。
何を受け取り、何を手放すか。その選択をする力は、いつでもあなたの中にあります。
今日、5分だけ、スマホを置いてみてください。
その5分で聞こえてくるのが、あなた自身の声です。
その小さな積み重ねで、あなたの人生を変えていく。




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