許せない人がいるなら、正直に言います。許さなくていい。
無理に許す必要はありません。「許しましょう」「感謝しましょう」と言われてできるなら苦労しません。つらい経験をした人に「許しなさい」と言うのは、暴力に近いとすら思います。
ただ、ひとつだけ知っておいてほしいことがあります。
だれかをうらみ続けて、いちばん苦しくなるのは——あなた自身です。
相手は何も感じていません。あなたが夜中に何度思い出しても、あの人は今日もぐっすり眠っています。あなたがどれだけ怒りを燃やしていても、あの人の日常には何ひとつ影響していない。
うらみとは、相手を罰しているようで、自分の心に毒を盛り続ける行為なんです。
うらみは「心」だけでなく「体」を攻撃する

これは気持ちの問題だけではありません。
ホープ大学の心理学者シャーロット・ウィットブリートの研究では、被験者に「許せない相手」のことを思い出させると、心拍数、血圧、筋肉の緊張、発汗——すべてが上がったそうです。体がストレス反応を起こした。
つまり、うらんでいる間、体はずっと戦闘態勢を取り続けているということ。あの人のことを思い出すたびに、心臓がドキドキして、肩がこわばって、呼吸が浅くなる。覚えがありませんか。
そもそも、うらみや嫉妬は目に見えないものです。けれど、思いや念は、どこへでも飛んでいく。相手のことを思うだけで、その人のところへ飛んでいくし、インターネット越しでも届く。
ということは——あなたがだれかをうらんでいる間、そのエネルギーは相手に飛んでいるけれど、同時にあなたの体の中でも暴れ続けているということなんです。
ネルソン・マンデラはこう言っています。「うらみを抱えたままでいるのは、自分で毒を飲んで、相手が死ぬのを待っているようなものだ」と。
27年間投獄された人の言葉です。重みが違います。
あなたの「時間」を、嫌いな人にあげていませんか

皮肉な話ですけれど、あなたを傷つけた人のことを四六時中考えているということは——あなたの人生の時間を、その人にあげ続けているのと同じなんです。
通勤電車の中で、あの人のことを思い出している。夜、布団の中で、あのときの言葉をくり返している。休日に、ふとした瞬間にあの顔が浮かんでくる。料理をしながら、あのとき言い返せばよかったとシミュレーションしている。
嫌いな人に、自分のいちばん大切な「時間」を捧げている。そう考えると、ちょっと腹が立ちませんか。
スタンフォード大学のフレッド・ラスキン教授は「スタンフォード許しプロジェクト」の中で、許しの訓練を受けた人は怒り・ストレス・身体症状が大幅に減少したと報告しています。許しは相手のためではなく、自分の心と体を守る行為だということが、研究でも明らかになっているんです。
わたしは「返す」ことにした

わたし自身、うらみやねたみのエネルギーは非常に強いと感じています。
だからこそ、それを感じた瞬間に、そのエネルギーをそのまま本人に返すようにしています。
むずかしいことではありません。「〇〇さんに受けたネガティブなエネルギーを、そのまま返す」と思うだけ。
仕返しはしません。それはわたしのやることではないから。ネガティブなエネルギーは、ちゃんとブーメランとして本人に帰っていきます。宇宙はそのようにできている。わたしはそう信じています。
そもそも、人間ができた人なんていないと思っています。わたしたちは霊的な成長を果たすために生まれてくる。全員が、成長の途中にいる。あなたを傷つけたあの人も、途中。あなた自身も、途中。わたしも、途中。
そして、思考はエネルギーです。画面の向こう側からでも届きます。
だから、SNSで自分の暮らしを自慢したり、マウントを取ったりする人は、実は危ういんです。何千人ものうらみや嫉妬のエネルギーを、スマホ越しに受けているということだから。
見ている側も同じです。だれかの投稿にイラッとしたり、うらやましいと感じた瞬間、あなたの中にネガティブなエネルギーが入ってくる。
だからこそ、受け取らない。そのまま返す。溜めない。
正直に言うと、わたし自身はもう、うらみや嫉妬という感情はほとんどありません。自分軸ができてからは、人のことが気にならなくなりました。
ただ、日常の理不尽な小さなイラッはあります。特に運転しているとき。信じられない運転をする人がいる。割り込み、煽り、ウインカーも出さずに曲がる。電車や、街中でも同じ。信じられない人はどこにでもいます。
そういうのは、その場で返す。「このエネルギー、あなたに返します」と心の中で思うだけ。そして、もう引きずらない。
ふいに浮かぶ「だれかの顔」も、返していい

特に理由もないのに、だれかの顔がずっと頭に浮かんでいること、ありませんか。友人、知人、昔の同僚。なぜか消えない。
人はいろんな思いを、無意識に飛ばしています。どんな思いかは人それぞれ。良いものもあれば、そうでないものもある。思いや念は、どこへでも飛んでいくから。
そんなときも、受け取らない。そのまま返す。「あなたにお返しします」と思うだけ。
それだけで、ふっと軽くなるから。
大きなうらみだけの話ではないんです。日常の理不尽な小さなイラッも、ふいに浮かぶだれかの顔も、その場で手放す。溜めない。持ち帰らない。これが「返す」の実践です。
夜中に嫌な記憶がよみがえったとき。「もう返す」と心の中でつぶやいてみてください。「この荷物は、もうわたしのものじゃない。返す」と。
最初はうまくいきません。何度も戻ってきます。けれど、「もう返す」と決めるたびに、少しずつ軽くなっていきます。
あなたの時間は、あなたのもの。もう、嫌いな人にあげなくていい。
その小さな積み重ねで、人生を変えていく。




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